社長メッセージ

「知の分かち合い」、それは生涯のテーマです。

  1. インターネットの出現で得た気づき。

    知の分かち合い。耳慣れない言葉かもしれませんが、ここに至るまでには、長きにわたる思考の蓄積がありました。根本は、インターネットの登場にまで遡ります。
    インターネットの黎明期、発展を牽引したのは各分野の研究者たちです。彼ら、彼女らが成果や論文を共有するツールとして広まっていきました。私自身もそうしたプロセスを学生の頃から経験しており、恩恵を受ける側でもありました。他者の研究成果に目を通すことにより、自分の研究や学びがより深まっていく。「これはひょっとして、新しいコミュニケーションのあり方ではないか・・・!」。新時代の到来を感じ、興奮が高まっていったことを覚えています。

  2. 検索エンジンの本質的な価値を知る。

    「インターネットの本質は、コミュニケーションである」。ユーザーとして使い込むにつれ、そう確信を持つようになってきました。漠然とではありますが、「知の分かち合い」の原形となる発想も芽生えていたように思えます。しかし、すぐに大きな問題も生まれました。共有される情報量が一気に増大したため、必要とするものにたどり着けなくなったのです。これはある意味、インターネットの危機とも言えました。そしてこの局面を変えたのが、現在に至る検索エンジンというわけです。過剰な表現かもしれませんが、検索エンジンはインターネットの本質=コミュニケーションを救ったと受け止めています。
    これまで述べてきたインターネットでのコミュニケーションこそ、私が掲げている「知の分かち合い」に他なりません。こうしてインターネット、中でも検索エンジンの存在は私を惹きつけ、いつしか研究対象になっていきました。

  3. 検索エンジンの技術者として転職。

    「こんな大規模なシステムがどうやって動いているのだろう」「自分も検索エンジンをつくりたい」そんな気持ちを抑えきれなくなった私は、転職活動を開始。当初はシリコンバレーで働こうと、現地の企業に履歴書を送ったり、電話で交渉をしたりしていました。けれど残念ながら、いい返事はもらえません。そんな中、問い合わせをしたExcite社から「日本法人が出来たばかりなので、そちらと交渉して欲しい」との連絡がありました。私は経験を積むために、まず同社への入社を選択。いずれはシリコンバレーでと考えていましたが、アメリカと日本を行ったり来たりする開発スタイルがフィットしたため、ここで長く勤めることになりました。主たる業務は、独自の検索エンジンの開発です。ちなみに私は、同社における第一号のエンジニアでした。

  4. 所属企業が次々に開発から撤退。

    Excite社を辞めた理由は、検索エンジンの開発が止まったためです。米国の本社が倒産し、日本法人が切り離された余波でした。そこで私は引き続き検索エンジンの開発に従事すべく、今度はYahoo!JAPAN社へ。ここでは事業部長まで務め、開発と売上の全ての責任を負っていました。特に検索連動型広告の開発は結果が売上へダイレクトに反映されるので、非常にやりがいを感じました。けれどまた、ここでも検索エンジンの開発から徐々に撤退することになりました。

  5. Web検索の勝負は終わっていた。

    検索エンジンに関われる企業はどこか・・・世界を見渡して考えていたころ、声をかけてくれたのがBaidu社の創業者です。やはり日本法人を立ち上げたばかりとのことで、ここでは日本法人のトップとして赴任しました。ただ結果から言えば、この会社での経験は、Web検索の開発に対して見切りをつける機会となりました。Googleと同じ土俵で闘っても、もう勝負はついている。その事実が、はっきりとわかったのです。また本社と日本法人という関係ではなく、自分の考えたプロダクトを自分の手で世に送り出したいという気持ちが強くなってきました。

  6. ECサイト内検索に活路を見出す。

    Baidu社は退職すると決めた、でもこれからの進路はまだ見えない・・・。そんな時、私のことをよく知るヨドバシカメラの友人から、ECサイトの検索エンジン開発の依頼がありました。2011年のことです。当時ECのサイト内検索エンジンはWebと違って圧倒的に遅れており、検索結果は不完全、サジェストも入っていない状態。購買行動というビッグデータを活用しているサイトなど、全く無いと言えました。「この分野に取り組めば、自分の得意分野で世の中の役に立てる」。検索エンジンに関わり始めてからおよそ13年、ついに自らの会社で闘っていく領域が定まりました。

  7. 起業に際し、間接業務をそぎ落とす。

    起業するにあたり、大企業で過ごした経験を活かそうと考えました。ひと言でまとめれば、「そぎ落とし」です。企業はある程度の規模になると、大人数を支えるための間接業務が必要となります。社内の調整会議などはその典型ですが、そこに費やしている時間は本来、お客様への貢献とは無縁です。さらに働いている自分たちも、やりがいや楽しさから離れていってしまします。私はその無駄を廃すために、大きなチャレンジを試みました。ユニバーサルナレッジ最大の特徴である、リモートワークです。

  8. 時間と場所に縛られずに働く。

    無駄なことにエネルギーは使わない。そのことを強く意識すると、必然的に通勤の無駄も視界に入ってきます。信頼できる仲間と働けるなら、マネジメントと称する見張りもいらないはず。綺麗なオフィスは人材募集には貢献しますが、そうした外見にこだわる人材は、ユニナレは必要としません。時間と場所に縛られず、幸せに仕事をする。それは結果として、お客様の幸せにも直結する。そんなプラスの循環をつくり出すことが、経営者となった私のテーマとなっています。

  9. 圧倒的に使いやすい
    商品検索エンジンを作りたい。

    商品検索エンジンには改善の余地が多数あり、使い勝手を飛躍的に向上させることが可能です。ただそのためには従来の発想を超えた、新しい仕組みを取り入れなくてはなりません。ずばり言えば、ECサイト間のデータ統合です。これまでショップごとに完結していた顧客データをユニナレ側で取りまとめ、ひとつの巨大なデータベースを構築。ユニナレの商品検索エンジンを利用される全てのお客様、すなわちECサイト同士で共有できるようにします。この仕組みにより、エンドユーザーにとって初訪問のEC サイトであっても、過去の購買履歴に基づいた検索結果やレコメンドが表示されます。必然的にマッチングの精度が高まり、ECサイトの売上はさらに向上していくというわけです。
    ユニナレの商品検索エンジンを使えば、1社では蓄積不可能な購買データへ自動的にアクセスできる。そうした仕組みの構築を目指し、いま実現に向けて取組んでいるところです。

  10. 「ユニバーサルナレッジ」の名にかけて。

    直接のお客様はもちろんのこと、お客様の向こうにいる消費者の皆様、そしてインターネット業界で奮闘している経営者やエンジニア。ユニバーサルナレッジはEC検索の技術を通じて、そうした方々すべてと「知の分かち合い」を実現します。単なる一企業の利益追求にとどまらず、社会に幸せを増やします。社名に掲げたユニバーサルナレッジは、まさに私たちのスタンスそのものです。これからの弊社のナレッジに、どうぞご期待ください。

ユニバーサルナレッジ株式会社
代表取締役 井上俊一